古谷実先生の世界に浸れる・・ヒメアノ~ルは素晴らしい
古谷実先生の世界って本当にものすごく特別な世界観があって、僕はものすごく好きなんだけど、やっぱり独特で嫌いって人も多いと思う。
R15の作品だし、暴力や性、それに残酷なシーンもあるし麻薬の描写なども出てくるので、衝撃的だしこんなに残虐でいいのかって最初はびっくりする。
でも見ているうちに、こういうことにつながる何かが、今の日本にもあるのかもしれないなと、問題提起のような作品にも見えてくるんだよね。
R指定ということでもちろんものすごい描写が多い、いじめのシーンなんて本当に辛らつだ。
でもニュースに上がってくる残虐な犯罪は、もっと残虐だしいじめももっと辛らつで精神をえぐるものが多いんだろうって僕は思う。
読んでほしいと思うけれど、こういうシーンが本当に弱くてトラウマになってしまうという人もいると思うから、ヒメアノ~ルを見る時には心してみてほしいって思うんだよね。
僕自身、この作品を見て世界観がかなり変わったというか、なんともいえない気持ちになったことは事実、そしてこういう狂気に満ちた気持ちを持っている人もきっといるんだろうなと感じる。
アイドル映画としては斬新なR指定が付いたヒメアノ~ルI
岡田君とユカちゃん、安藤先輩の恋愛コミカルシーンは、どこにでもある恋愛風景、安藤先輩が面白くてどうしてこれがR指定?って思う人も多いと思う。
でもここに森田が出てきて森田の行動がなんとも不安にさせる。
重くて残虐な森田のシーンの間に、岡田君たちのごくありふれた日常がある、そのため、より一層森田の残虐さが際立っていて、ごく普通の空間に実はこういう狂気があるのだって知らせてくれる。
もしかしたらこういうこと、現実に事件として起こっているのかもしれないという、どこにでもある、また今多いストーカーがきっかけとなっている所など、現実に起こるかもしれない恐怖を感じるし、また人の本当の強さみたいなものも感じる物語だ。
多分、見る人によって視点が変わるのかもしれないけれど、見てほしい映画の一つといえる。
ヒメアノ~ルのあらすじ、ちょっと紹介
安藤が恋するユカちゃんの働くカフェに岡田が連れていかれ、そこで昔いじめられっ子だった森田と再会する。
いじめられていた時とは全く違う雰囲気の森田に少々違和感を感じつつ再会のシーンがある。
いつもユカちゃんを見つめている安藤は自分こそストーカーまでいかなくてもユカちゃんのところに現れるのに、森田のことをストーカー呼ばわりするのだ。
岡田は安藤の勘違いだと思っていたが、ユカちゃんが本当に森田をストーカーとして訴えてしまい物語が一気に動き出す。
ユカちゃんから相談を受けて岡田は森田を飲みに誘う、しかし顔色を全く変えずに嘘をつく森田に違和感を覚える岡田。
この一件から手を引くことができないままユカちゃんの護衛を気取っている安藤とユカちゃんの勤めるカフェに通うが森田はその後一向に現れず、ユカちゃんは迷惑になるからと護衛を遠慮するが、安藤は彼女に告白を決意、しかしこの告白を伝えるのは岡田に任される。
安藤の思いをユカちゃんに伝えたがユカちゃんが好きなのは岡田という思いもかけない告白に、様子を盗み見ていた安藤は絶叫、ユカちゃんもびっくりして絶叫、岡田は安藤の思いを知っていたため、ユカちゃんの告白を断ろうとするが結局交際を始める。
二人の幸せそうな姿を見て森田は岡田を殺そうと決意、協力要請を受けた高校時代の同級生・和草。
和草は今まで森田からお金を要求され続け、自分の父が経営するホテルで働く婚約者に頼み込み横領させお金を作っていた。
高校時代、森田と和草をいじめていた主犯格を殺して山に埋めた過去を持っているため、脅されて続けていたのだ。
婚約者の美由紀はそれを聞き森田殺害を計画し、森田がいなくなればずっと一緒にいられると訴えられ和草は自首する事を決めて森田の家に向かう。
森田の家に行くとドアを開けていきなり蹴り飛ばす和草、美由紀と一緒にビニールテープで拘束しようとするが、もたつくうちに森田に形勢逆転され美由紀と和草を殴り殺し、彼女に火をつけて逃走、家を失った森田はいよいよ狂気の世界に踏み込む。
ここから先は狂気の世界が広がっていくが、最終的に森田と岡田の関係がわかり、最終的にほろっとする展開となっている。
古谷先生のこの作品には、ただただ残虐と感じるシーンもあるけれど、人間ドラマ、人の心の怖さ、臆病さ、弱さ、狂気に走ったときの行動のすごさなど色々な表現があるのだ。