なぜか続きが気になる「輪るピングドラム」
「輪るピンクドラム」のあらすじ
双子の高倉冠葉(かんば)と高倉晶馬(しょうま)、そして妹の高倉陽毬(ひまり)は、幼い頃に両親を失い、3人だけで暮らしていた。
妹の陽毬は病気を患っており、余命いくばくもない状況になっている。
そんな陽毬の願いで、3人にとって思い出の場所である水族館へ出向くものの、そこで陽毬が倒れ、そのまま死んでしまう。
兄二人はショックに打ちのめされるが、水族館で購入したペンギンの帽子を被った状態で倒れていた陽毬が「生存戦略!」という謎の言葉とともに生き返る。
じつはこのペンギンの帽子に宿る「プリンセス・オブ・クリスタル」が彼女を延命してくれたのだが、その代わりとして「ピンクドラム」を探し出すことを求められる。
この出来事から3人の運命が大きく変転し、さまざまな出来事に翻弄されるようになっていく。
「輪るピンクドラム」の登場人物・見どころ
高倉冠葉と高倉晶馬の双子、妹の高倉陽毬の3人兄弟に加えて、プリンセス・オブ・ザ・クリスタル、ヒロイン格の荻野目苹果、高倉兄弟の担任教師の多蕗桂樹、女優の時籠ゆり、高倉兄弟とは別にピンクドラムを追い求める夏芽真砂子など、様々なキャラクターが登場する。
この作品の見どころは、双子の主人公である冠葉と晶馬が妹の陽毬を助けるために奮闘していく様子、そしてその過程で次々と明らかになっていく謎にある。
彼等が頑張って謎を解いていくと、次から次へと別の謎が登場する。
そのため見ている側は、「続きはどうなるんだ?」と気になって仕方がなくなってしまう。
一度見はじめたら最後まで見ずにはいられない、吸引力を持っている作品になっているのです。
また、斬新でユニークな表現も面白い。
ペンギンのモチーフがあちこちで登場したり、モブの登場人物がピンクドラムとして表現されているなど、「なんだこれ?」と言いたくなるような面白い表現があちこちで出てくるのだ。
そもそものストーリーからしてかなり破天荒な面を持っているのだが、この演出のユニークさもこの作品のオリジナリティを高めていると思う。
かといって見る人を選ぶような作品では決してなく、誰でも楽しめる間口の広さも持っている。
この作品の監督は、かの名作「少女革命ウテナ」を担当した幾原邦彦氏。
少女革命ウテナからしてかなり独特の世界観で大きな話題となったわけだが、この「輪るピンクドラム」も、そんな幾原邦彦氏らしい面白さを備えた作品として評価できるだろう。
「ウテナ」を見ていた世代の人たちにとっても懐かしさを感じながら楽しめるだろうし、ぼくのような後追いで「ウテナ」を見た世代にとっては「この監督ってやっぱり面白いな」と感心させられる魅力を持っている。
男女どちら向けというわけでもなく、性別を問わず楽しめる面を備えているのもこの作品の強みだろう。