「フィッシュストーリー」のあらすじ
「フィッシュストーリー」のストーリーは、複数の時代にまたがって展開していく。
まず舞台となるのは2012年、地球に小惑星の衝突が迫っている鬼気迫る状況。
とあるレコード店の店長が「この曲が世界を救う」と言いながら、無名のバンドのレコードを取り出す。
これが「フィッシュストーリー」という曲だった。
主人公の雅史が車の中でその曲を聴いていると、無音部分に女性の悲鳴が聞こえてくる。
その後、食事会で知り合った女性から「あなたはいつか世界を救う」と予言される。
その帰り道で再びフィッシュストーリーを聴いてみると、再び無音部分で女性の悲鳴を耳にするが、今回は本物の女性の悲鳴だった。
車から降りて周囲を見回してみると、男性が女性を襲っている場面と遭遇、彼は男の恐ろしさにいったんは逃げ出すものの、落ちていた棒を手にとると男に立ち向かっていく。
時代は遡って2009年、女子高生の麻美がフェリーに乗っているときに銃を持った男たちが押し入り、フェリーがシージャックされてしまう。
そこへ彼女に対して「自分は正義の味方だ」と名乗っていたフェリーのコックが、シージャック犯たちに戦いを挑んでいく。
さらに時代は遡って1975年、無名のパンクバンド「逆鱗」は、音楽プロデューサーとの意見の相違もあって活動に行き詰まっていた。
そんななか、最後のレコーディングに臨むことになったバンドのリーダーの繁樹は、とある本からヒントを得て新曲の歌詞を書き、プロデューサーの意向を無視して「フィッシュストーリー」を作曲する。
そしてバンドのメンバーたちは、この曲がいつか世界を救うことを夢見るのだった。
そして再び2012年、小惑星の衝突があと数時間ほどまで迫ったところで、人類は災厄を避けるために最後の作戦に出ようとしていた。
宇宙船を小惑星に飛ばして激突させることで、地球への衝突を避けるというもの。
その中に麻美も登場していた。
しかもシージャック犯と戦ったコックは、雅史と彼が暴漢から救った女性の間の子供であることが明らかになる。
かくして、「フィッシュストーリー」がきっかけで生まれた人と人との輪が、最後の最後で世界を救うことになったのだった。
「フィッシュストーリー」のキャスト・見どころ
繁樹役は伊藤淳史、麻美役は多部未華子、雅史役は濱田岳、正義の味方のコック役は森山未來が演じている。
それぞれ異なる時代で起こる出来事が最後の最後、それも世界が破滅するギリギリのところで結びついて世界が救われる。
伏線が見事に回収されたうえで、世界の破滅が回避されるというスケールの大きさが最大の見どころだ。
この最後の場面を見たときに「ああ、なるほど、そういうことだったのか」と感心してしまった。
あちこちに散りばめられた伏線が、見事に回収されていくときの気持ちよさがたまらない魅力となっている。
このひねった構成が、ぼくのようなひねくれ者には素晴らしく魅力的に思えるのだ。